今回で1学期目の授業紹介は最後になります。企業のオペレーションに関する授業、通称TOMです。
一言にオペレーションと言っても、細かな生産管理から複数企業の枠組みで捉えたサプライチェーンのデザインまで様々なスケールで考えることになります。
コースの前半は細部から。工場を中心に(一部レストランや航空会社などの題材もあり)、オペレーションのCycle Timeや各工程のつながりを分析し、Bottleneckを突き止め、生産性の向上に繋がる提案を行なっていきます。
この授業では特に日本の企業が取り上げられるケースが多く、Benihana(鉄板焼きチェーン)の1960年代以降のNYでの成功、Toyotaの”Kaizen”やTesseiの「奇跡の7分間」など、日本企業が生産性を極める過程や文化的背景について学ぶ機会がありました。(いずれも「過去」の事例になってしまっていて、「現在」の新たなイノベーションと直結していない点が残念ですが・・・)
特に前半は数字が中心の授業であっただけに得意な分野でしたが、後半はオペレーションとビジネスモデルのアラインメントや、複数企業をまたいだサプライチェーンを1つのオペレーションと捉えたマネジメントなど、より広い視野が必要とされました。
オペレーションの細部にフォーカスすることの重要性
「神は細部に宿る」”God is in the details” と言われることがありますが、生産の全てのプロセスを詳細に(できる限り数値化をして)分析をすることで、企業全体の生産性向上を行います。このボトムアップアプローチは末端の社員まで意識(文化)が共有されていて初めて実現可能であり、細部での発見を汲み取り、全体の改善へと波及させていくシステムが必要となります。「細部の分析」を数値化(ex. Output Rate / Cycle Time / Through Put Time / Bottleneck / Variability etc.) することで、具体的な目標値をチーム全員で共有できるという強みもあります。
サプライチェーンの大きな文脈の中で俯瞰的に戦略を分析する有効性
あるプロダクトがエンドユーザーの手元に届くまで、業界や商品ごとに異なった流通チャネルが存在します。(そして時に恐ろしく複雑な場合も・・・)チャネルの効率化は、品切れを最小限に抑えるなどサービスの向上につながるだけでなく、在庫や中間マージンの圧縮など企業側の利益にも直結するだけに必須の検討項目です。難しいのは単体の企業だけでなく複数企業間の関係性をマネジメントしなくてはならない点。そのためミクロにオペレーションを診るだけでなく、システム全体を俯瞰的に捉える視点も必要となってきます。