HBSには多くのクラブがありますが、今回は僕が所属するReal Estate Clubの活動として参加したニューヨークでのトレックを紹介しようと思います。
トレックの詳細の前にReal Estate Clubの概要を紹介します。
・文字通り不動産に関心を持つ人たちが集まっていて、ディベロッパーでの経験を持つ人から、投資サイドにいた人、もしくは卒業後に不動産へのキャリアチェンジを考えている人などが中心です。最近ではReal Estate Techにも注目が集まっています。
・GSD (Harvard Graduate School of Design) には不動産に特化したプログラムがあり、こちらのクラブ活動も盛んなため、企画はGSDとジョイントでやる場合が多いです。そのため、Design Schoolの生徒と繋がる良い機会となります。
・Happy Hourのようなネットワーキングイベントから業界での第一人者を呼んだパネルイベント、キャリアトレック(今回はこれ)、1年に1回開催されるカンファレンス(僕はこの代表をつとめました。カンファレンスについては次の記事で紹介します。)などが主な活動内容です。
本題のトレックですが、時は遡り2月の上旬の週末、-10度の極寒の中、参加者約20名(ざっくりHBSから8名、GSDから12名)で5社を訪問してきました。
現在High Line近くに開発中の高級コンドミニアム兼アパートメントのショールーム。HFZ Capital Groupというディベロッパーが開発しており、設計者はBjarke Ingelsです。
周辺環境のコンテクストから導かれた2棟のタワーが捻られながら寄り添うような独特の形態。
実際の住戸を再現したショールームだけでなく建設現場の中も見せてもらうことに。日本の建設現場と根本的な違いはありませんが、外装のサッシ周りの作り方の違いや何より地震がないことによる構造設計の違い、それに起因する建物の作り方の違いを生で感じることができました。
現場の上階から撮った写真です。実際にこの景色が自分の家から眺められると考えると贅沢ですね。
-10度で風が強い凍てつく環境の中、手と脚の感覚をほぼ失いながら視察を終えると、続けて他の3社を訪問しました。
Wildflowは非常に小さなディベロッパーですが、彼らの戦略はNYC郊外のAffordable HousingやPersonal Storage、Logisticsなどの建物を開発するというエッジが立ったもの。CEOの人と座談会のような形で話をし、会社のプロジェクトの内容からキャリアの相談まで広い話題を話し合いました。
Trimont / Vardeのオフィスでは、不動産投資に対するEquity/Debtファイナンス事業の功績や今後のマーケットの見通しなどを1時間ほどディスカッションしました。
Ackman-Ziffは、Debt CapitalだけでなくEquity Finance、Investment Salesなど幅広いスコープでアドバイザリーを行なっている会社です。ここで興味深かったことは、Single Family Rentals (SFR)、つまり一軒家のレンタル事業が日本と比べ米国ではかなり市場規模が大きく、ここに今後積極的に入り込もうとしているという戦略でした。
最後に訪れたL&L Holdingsでは、今まさに開発を進めようとしているTimes Squareに面したビルのプロジェクトを説明してもらいました。超一等地における大規模開発であり、既存の劇場を残しながら行う建設過程もかなりダイナミックなものでしたが、個人的にはビルのデザインがおとなし過ぎるのではという印象。
会社訪問の後には、参加メンバー全員で食事をしながら、改めてそれぞれのバックグラウンドや興味を話し合ったり、途中からHBS、GSD両方のNYで働く卒業生が合流し、新たな輪を広げることができました。
今回の旅の収穫としては、NYの昨今の建設プロジェクトやマーケット動向を知れたことも一つですが、何より同じ興味を持った同級生や卒業生との繋がりができたことが最も大きかったように思います。トレックで出会ったHBSの2人とは、その後、2週間に1回、授業が始まる前に朝食がてらリクルーティングに関する情報交換や今度不動産業界でどのようにキャリアを考えるかなどを話し合っています。また、不動産アドバイザリー会社で働くGSD卒業生とは、この後、僕がNYを訪れる度に連絡を取り合い食事をしたりする仲に。
興味がドンビシャ合う仲間と話すのはInsprinigでモチベーションを上げてくれます。