Tenement Museum

今回はTenement Museumについて紹介します。NYに多数ある美術館の中ではあまり有名ではないのですが、かなり楽しめた穴場です。
Tenementは日本語であまり適切な訳がありませんが、19世紀後半から20世紀前半にかけてアメリカに移り住んだ移民を対象とした貸家です。
場所はLower East ManhattanのBowery付近で、この地域は特にユダヤ人の移民が多く移り住んだ場所。事前予約のツアーのみの参加で、当時のままの姿で残された低所得者住宅を1時間〜1時間半ほどかけて回ります。(ネットからの予約制、プログラムによって所要時間が異なるので要チェックです)

こちらがエントランスの外観と内部のショップ。本などが充実していて30分ほど過ごしてしまいました。

ツアーで回ったTenementの入り口です。Tenementの代表的な規模としては約30m2程度の空間に1家族(平均7〜9名の家族構成)、1フロアに2家族住み、5階建ての建物です。住人の密度に加えて、元々は屋外に共用の水廻りがあり極度に劣悪な環境でした。1905年に制度が改正され、建物内に共用トイレが設けられたり、換気のための縦ダクトが設けられるなど環境の改善が行われます。この極小の部屋の中で、当時、多くの家族が衣服の仕立てで生計を立てていたようです。1900年頃、Lower East Side付近は世界で最も人口密度が高い地域でした。

1920年代を過ぎると劣悪な環境に世間の目が当てられるようになり、1930年を過ぎた頃にはTenementの存在は消え(マンハッタンの北Upstateにある衣服仕立て工場の環境が整えられ、部屋の中で仕事を営む需要も減っていった)、制度も厳しくなりそれぞれの部屋に水廻りが設けられた現代的なアパートメントに改修されていきます。

ツアーではユダヤ人の移民家族がどのようにこのTenementの中で協力し合い仕事をしていたか、当時の資料を使いながらガイドの人が熱心に説明をしてくれます。
複数のツアーが同じ建物の中を行き交うのですが、オペレーションもスムーズで、ガイドのクオリティも高かったためぜひ訪れてみることをお勧めします。
この体験をした後、鉄骨階段がぶら下がったアパートメントが並ぶNYの街が、今までとは違った意味を持って目に映るようになりました。

上の写真は僕が住んでいるAirbnbの共用部エントランスを入ったところの写真。Tenement Museumから徒歩2分の距離にあるのですが、まさにツアーで訪れたTenementとほぼ同じ内部構成でした。
100年以上も前に建てられた家屋が改修を重ねられ現在も使われていることが分かります。自分の住んでいる場所もまた違って見えるようになった経験でした。(そんなに古いならちょっと臭うのもまあ納得できる、かな)