2人のCEOの言葉

2人のCEOの言葉

2018-03-11

HBS Club of Japan(HBSの卒業生を中心とした集まり)は毎年優れた経営者の表彰を行っています。
先日、その表彰式およびプレゼンテーションを聴きに行ってきました。
会場は六本木ヒルズGoogle本社内にある、Google Partner Plex Tokyo。
(ここは同社が「クライアントやパートナーと共にイノベーションを生み出すため設けた拠点」とのことです。)

受賞者の2人のCEOの話を聴きましたが、対極なパーソナリティを持つ2人が類似した経営論を語っているのはとても興味深かったです。

まず1人目は日本マクドナルドの奇跡の復活劇をリードしたサラ・カサノバ氏。(Sarah L. Casanova)

この写真を撮影されながら、「ここにいるメディアは友好的ですね」、といきなりジョークを飛ばしていました。
2013年の就任直後、異物混入問題などでドン底の業績にまで沈んだマクドナルドを2017年に史上最高業績にまで導いています。

予想していた通りのカリスマ性。
「スピーチの教科書」という言葉が脳裏をよぎるほどプレゼンテーションがうまい。
ペース、語彙、ジャスチャー、程よいユーモア・・・ここまで完璧なスピーチを生で観れたのは初めてでした。

カサノバ氏の経営論の根本は、レストラン(現場)から企業文化を浸透させ一丸となって経営を目指す、というもの。
“Culture eats strategy for breakfast.” という有名なドラッカーの引用から始まったプレゼンテーションは「社員一人一人の目線をいかに揃えていけるか」という内容にフォーカスしていました。

もう1人はユニ・チャーム2代目(「経営者」としては3代目)の高原豪久氏。

「欧米人のプレゼンテーションの後はとてもやり難いのですが」と始めた高原氏は、カサノバ氏とは対極の日本人的素朴さを持っていました。
2代目としてユニ・チャームを継ぐ過程でファミリー・ビジネスの様々な側面を学んだという。
自分も類似した境遇にあるため、思わず前のめりで聴き入ってしまう。
入社当時、会社の実情に唖然とした高原氏は、逆に新たに自分の色を出す機会と捉えモチベーションが湧いたという。

なるほど・・・!
この言葉が聞けただけでも明日から頑張れる気がします。
特に、社長交代後に一気に海外展開を進めたその道のりにも共感します。

現場とトップのギャップを埋める「共振の経営」で有名な高原氏。
そのエッセンスはカサノバ氏の復活劇と共通していて、「リーダーって何なの」という質問に対する本質的な答えを見た気がしました。

ちなみに、弊社プランテックは原田泳幸前CEO時代、マクドナルドの店舗の設計をさせてもらった経験があります。
それが今の、インバウンド設計業務(海外クラアントが日本で建てる建物の設計)の受注の礎となっています。
そのことを話し、またいつかコラボレーションをする機会がもらえましたらとお願いしたところ、ニッコリ笑って快諾の返事をいただきました。